2012/08/02

CyberPower Backup CR 1200 (CP1200SW JP)レビュー&複数台のPCでUPSを使用する方法

CyberPower Backup CR 1200 (CP1200SW JP)を購入

1年以上前の事ですが、 CyberPower 社製のUPS( Backup CR 1200 ,CP1200SW JP)を購入しました。
当時は東日本大震災後に原子力発電所が停止した事で発電能力が不足し、計画停電が実施される事態となっていました。
開閉器が多々稼働する中、瞬停が発生すると困るので日中はPCを休止状態で稼働していましたが、日に何度も復帰と休止を行き来するのは精神衛生上良くないのでUPSを購入する事にしました。


CyberPower Backup CR 1200 (CP1200SW JP)の概要



・PCに利用可能な正弦波出力(PFC電源対応)
・1200VA / 720Wの大出力
・12V 8.5AH (エンコ中350W使用でも12分以上稼働)
・自動電圧調整器(AVR)
・YUASAバッテリ(NPW45-12)
・APCの製品等と比較して安い(当時は特需の為UPSが高額でした)
・台湾メーカー
・消費電力、残り時間等のLCD表示
・Windows/Linux/Mac OS X
*同型筐体の廉価版で900VA / 540WのBackup CR 900(CP900SW JP)もあります。

メーカー公式ページ(CP1200SW JP、正弦波)
メーカー公式ページ(CP900SW JP、正弦波)
メーカー公式ページ(CP750SWLT JP、正弦波)


レビューと問題点

Windows 7 SP1 x86で使用して1年と数ヶ月が経過。

筐体裏側。写真左側の4つのコンセントがバッテリーバックアップ対象です。
右側の4つはサージ保護だけなので間違えるとバックアップされないので注意が必要です。
また私は使用していませんが、LANケーブルとアンテナ線のサージ保護も付いています。

【管理ソフト(PowerPanel Personal Edition)】

・消費電力やバックアップ残り時間の確認、異常発生回数のログ等を見る事が出来ます。
・・入力電圧
・・バッテリー残量
・・バッテリー状態
・・バックアップ可能時間
・・接続容量(負荷の消費電力)

・休止状態に入る条件を選択できます。
・・バッテリーバックアップの残り時間(5/6/7/8)分
・・停電から(1/2/3/4/5)分経過

・エラーで落ちる事もなく安定しています。
・消費電力とバッテリ残量、残り時間は専用ガジェットに表示可能なのでデスクトップに置いておけます。PC一台だけ接続すると消費電力が測定できるので面白いです。
・バッテリ給電の動作確認を実行できます。
接続して管理、休止状態へ移行できるPCは一台だけです。(解決策は後述)
・バックアップ運転時の警告音を無効に出来ます。
・スケジュール機能が付いています。(PC用途では使用しないと思います)

【静音性】
・通常時は特に騒音が出る事はありません。
・バッテリからの給電時はファンの音が多少します。

【耐久性】
・無空調で夏場は30度以上ですが特に今のところ問題は出ていません。

【LCD表示】
・管理ソフトから消費電力などの確認が出来るので見る必要はないです。その為液晶画面が見えない置き方で使用しています。

【筐体】
・720W出力、12V 8.5AHの代償でしょうが、11.6kgもあり重たいです。サイズも337x100x249mmあります。

【UPSとしての動作】
・幸い今のところ外的要因による不慮の停電は起きていません。
・ブレーカーを飛ばしてしまった時には正常に動作してくれました。
・大容量バッテリだけあってかなり持ちます。
(以下、メーカーサイトの期待動作時間一覧表より引用抜粋)
>100W 60分
>300W 20分
>500W 6分
>700W 2.5分


CyberPower Backup CR 1200を複数台のPCで利用できるようにする

CP1200SW JPは安くて高性能で一見死角がないように思えますが、多少は問題点があったりします。
APCの製品では複数台のPCを管理する事も出来るようですが、このUPSは一台のPCしかUSB接続する事が出来ません。
折角出力が720Wもあるので出来れば2台のPCを停電から保護出来ないか検討した結果、停電時にLANの接続がダウンする事を利用して2台目以降のPCを休止状態に移行するようにしました。
単純な方法なのでAPCやオムロンの廉価版UPSでも使用できると思います。

動作としては以下のようになります。

・1台目:停電から5分後に休止状態に移行
(UPSとUSB接続しているので、公式の管理ソフトで動作します)

・2台目:停電から30秒(又は1分)後に休止状態に移行
(UPSとは非接続ですが、LANの接続が切れたら動作します)

ここで注意する点は2台目移行のPCが休止状態へ移行するまでの時間を1台目より短く設定する事です。
*USB直結のPCが休止状態に入るとUPSからの給電が失われる為

では下記に設定方法を記載します。


休止状態移行BAT

このBATはルーターが設置されている環境を前提としています。
"192.168.1.1"の部分は御自身の環境でのルーターのローカルIPを設定して下さい。
ipconfig /all
をコマンドプロンプトで実行し、デフォルトゲートウェイのIPアドレスを確認して下さい。
(大抵の環境では192.168.1.1だとは思いますが。)

上記設定を変更した後、適当なファイル名で*.batとして保存して下さい。

-----
@echo off
setlocal

echo #LANに異常が発生しました#
echo #停電の可能性があるので30秒後に休止状態に移行します#
echo #時間内にLANが復旧した場合は自動的にキャンセルされます#
echo;

echo "残り30s"
ping localhost -n 5 -w 1 > nul

ping 192.168.1.1 -n 1 -w 1 > nul
IF NOT ERRORLEVEL 1 (exit)

echo "残り25s"
ping localhost -n 5 -w 1 > nul
echo "残り20s"
ping localhost -n 5 -w 1 > nul
echo "残り15s"
ping localhost -n 5 -w 1 > nul

ping 192.168.1.1 -n 1 -w 1 > nul
IF NOT ERRORLEVEL 1 (exit)

echo "残り10s"
ping localhost -n 5 -w 1 > nul
echo "残り05s"
ping localhost -n 5 -w 1 > nul

ping 192.168.1.1 -n 1 -w 1 > nul
IF NOT ERRORLEVEL 1 (exit)

echo #休止状態に移行します#
%windir%\System32\rundll32.exe powrprof.dll,SetSuspendState

endlocal

pause

-----


BATの解説

・localhostにpingを打っている処理は時間稼ぎです。(1sec/1ping)

・ルーターのIP(192.168.1.1)にpingを打ち、成功の可否でLANが復旧したか確認しています。

・復旧しない場合は下記コマンドで休止状態に移行します。
%windir%\System32\rundll32.exe powrprof.dll,SetSuspendState
ここを変更するとシャットダウン等も可能です。


作業手順(イベントをトリガにしたタスク登録)

1.
LANケーブルを外します。(もしくはハブ等の電源を落とす)

2.
LANケーブルを元に戻します。(もしくはハブ等の電源を再投入)

3.
コントロールパネルから、
[コンピュータの管理]>[システムツール]>[イベントビューアー]>[Windows ログ]>[システム]
を開きます。

4.
一覧からLAN接続が失われた事で発生したイベントを探します。
*このイベントは使用しているNICによって異なると思います。

5.
該当するイベントログを発見したら、
[LAN接続断でのイベント名を右クリック]>[このイベントにタスクを設定]
をクリックします。

6.
上記の「休止状態移行BAT」がイベント発生時に実行されるように設定します。


動作確認

非常事態の為のUPSなので、正常に意図した動作が行われるか必ず確認してください。

・LANケーブルを抜き、BATが実行されるのを確認します。
・LANケーブルを挿し、休止状態への移行がキャンセルされる事を確認します。

・再度LANケーブルを抜き、そのまま休止状態に移行するか確認します。
・LANケーブルを戻してPCの電源を投入し、休止状態から復帰できるか確認します。


その他のTips

・ルーターが不安定で信用できない場合(某社の製品等)はルーターとPC間に適当なハブを噛まして下さい。ハブの電源が落ちない限りは休止状態移行BATが実行されません。
・録画やファイル置き場などのサーバー用途のPCで落ちたままだと困る場合は、BIOSの設定で電源復帰時に立ち上がるように設定して下さい。