2012/12/20

PSNRによる画像拡大アルゴリズム7種の画質評価結果

この記事は古いので、
MSE・PSNRによる画像拡大アルゴリズム10種・ソフト8種、計14パターンの画質評価結果
を見て下さい。

各種画像拡大アルゴリズムとソフトウェアの紹介

評価に使用した超解像・画像拡大アルゴリズムの紹介です。Photoshop以外は無料で入手して使用できる物です。


人工知能超解像プログラム NeuronDoubler

当方の開発した超解像を行うフリーソフトウェアです。ニューラルネットワークを応用した独自アルゴリズム(連想記憶型人工知能による一種のデータベース型超解像)で動作します。
使用ソフト/設定:NeuronDoubler v3.10 / デフォルト設定


「100x100倍 超解像ソフト」

神戸大学の研究室が公開している超解像ソフト。データベース型超解像と思われます。
使用ソフト/設定:100x100倍 超解像ソフト Windows用 Version 2012.06.04 / デフォルト設定


「Lanczos-3(ランチョス3)」

高品質で有名な画像の拡大/縮小アルゴリズムです。実装しているソフトウェアは少なめです。
使用ソフト/設定:藤 -Resizer- v2.63.0 / Lanczos-3


「Bicubic(バイキュービック)」

下記のバイリニアと合わせ、一般的に普及している拡大アルゴリズム。
使用ソフト/設定:Photoshop CS5 / バイキュービック法 - 滑らか(拡大に最適)


「Bilinear(バイリニア)」
単純な線形補間による拡大アルゴリズム。
使用ソフト/設定:Photoshop CS5 / バイリニア


「Nearest neighbor(ニアレストネイバー)」

最も単純な拡大アルゴリズム。整数倍の拡大では元画像がそのまま引き延ばされます。
使用ソフト/設定:Photoshop CS5 / ニアレストネイバー


「SmillaEnlarger」

有名なオープンソースの画像拡大ソフト。アルゴリズムは独自のようです。
使用ソフト/設定:SmillaEnlarger version 0.9.0 / デフォルト設定


評価方法

縮小した画像を超解像処理で引き延ばし、元の画像にどれだけ復元できるかをテストしました。

[使用した画像データ]
原画像:テストに使用する元の画像。写真とイラストの2種類。
縮小画像:原画像を平均画素法で縦横1/2に縮小した画像。
拡大画像:縮小画像を各種画像補間アルゴリズムで縦横2倍に拡大した画像。

[手順]
拡大画像が原画像と比較してどれだけの誤差を持っているかをPSNRにより評価。
PSNRの算出には「画素比較ソフト DIFFPix」を使用しました。


PSNRについて(参考:Wikipedia)

オリジナル画像と劣化画像の間に定義されるピーク信号対雑音比。値が大きいほど劣化が少なく高画質です。
PSNRで0.2dBの差があれば人間が知覚できると言われています。


テスト結果

「超解像処理テスト結果1(実写ソース)」

原画像:高品質なネコ科の動物の写真(4288x2848ピクセル)を平均画素法により1600x1064ピクセルに縮小した画像を使用。

超解像処理テスト結果1(実写ソース)

33.13[dB] NeuronDoubler
32.95[dB] 100x100倍 超解像ソフト
32.85[dB] Lanczos-3
31.85[dB] Bicubic
30.95[dB] Bilinear
30.45[dB] Nearest neighbor
29.82[dB] SmillaEnlarger

「超解像処理テスト結果2(イラスト)」

原画像:2DCGイラスト。1024x768の壁紙サイズのJPEGイメージをそのまま使用。

超解像処理テスト結果2(イラスト)

30.01[dB] NeuronDoubler
29.86[dB] 100x100倍 超解像ソフト
28.85[dB] Lanczos-3
27.89[dB] Bicubic
27.02[dB] Bilinear
26.38[dB] Nearest neighbor
26.96[dB] SmillaEnlarger


まとめ

今回試した7種のアルゴリズムのうち、NeuronDoublerが実写・イラストの両方で最も良好な結果を得る事が出来ました。
想定していたよりもSmillaEnlargerの結果が悪かったのですが、綺麗に見せる為のフィルタ処理による画作りの悪影響だと思われます。

また、通常の画像補間アルゴリズム(Lanczos-3,Bicubic,Bilinear,Nearest neighbor)の中ではLanczos-3が頭一つ抜きん出た結果になりました。
ただし、実写ソースにおいては比較的良好な結果が得られたものの、イラストではデータベース型の超解像アルゴリズムと比較して1.0[dB]以上の画質差が見られました。
アニメのアップコンバートにはLanczos-3以外のアルゴリズム(ピクセルのベクトルを抽出するタイプ等)が効果を発揮できると思われます。
PS3のアニメDVDにおけるアプコン再生の評判が良かったのはこの辺が理由だと考えられます。逆に言えば映画などの実写ソースにおいてはLanczos-3で十分です。

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